2016年10月4日

科学的インフルエンサー・マーケティングのススメ


インフルエンサー・マーケティングとは?

インフルエンサー・マーケティングという言葉をご存知でしょうか?マーケティングや広告に携わっている方であればご存知でしょうが、 一般的にはまだなじみのない言葉だと思います。インフルエンサーとは、 世の中に対して影響力(influence)を持つ人のことを指しており、 狭義にはブロガーやユーチューバ―などのネット上でファンを持つ人々のことを指しますが、 広義には、芸能人やスポーツ選手、さらには専門家・業界の権威・学者なども含まれます。 そして、こうした人々による情報発信を通じて宣伝・販売促進などを行うことをインフルエンサー・マーケティングと言います。

この定義に基づけば、ブロガーによる商品レビューやインバウンド向けの旅行体験記、 それから、普段よく目にするタレントやスポーツ選手を起用したテレビCMなども、 インフルエンサー・マーケティングの一種であると言って差し支えありません。

インフルエンサー・マーケティングの広告効果は計測できない?

さて、そのインフルエンサー・マーケティングですが、 人間の影響力を活用したものであるため、 効果はよくわからないとの印象を持つ方が多いのではないかと推察します。 しかしながら、それは真実ではありません。

AIDAモデル

インフルエンサー・マーケティングの効果について考えるため、まずは消費者の購買プロセスについて見てみましょう。 購買プロセス理論では、AIDMA・AISASモデルが有名ですが、 ここではより単純なAIDAモデルを取り上げ、その枠組みの中で、 インフルエンサー・マーケティングがどのように位置づけられるかを考えてみましょう。 まず、AIDAモデルのおさらいです。

AIDAモデル

消費者は、商品を認知することから始まり、次にその商品について興味を持ち、 そしてその商品を欲求し、最終的に購買に至る、というものです。 この枠組みは、複雑な消費者購買プロセスを単純化したものですが、 多かれ少なかれ消費者がたどるであろう購買プロセスをわかりやすくフレームワーク化したものです。 広告・マーケティング施策が、どのステップに対して働きかけたいかを整理するのには有効です。

AIDAモデルとインフルエンサー・マーケティング

さて、インフルエンサー・マーケティングの例として、YouTube動画による商品プロモーションを例に取り上げ、 上記のAIDAモデルとの対応を考えてみましょう。 YouTube動画投稿にともなって発生するプロセスを細分化すると、以下のようになります。

  • インフルエンサーが動画を投稿すると、そのインフルエンサーのチャンネル登録者に対して通知が届きます。
  • 動画が視聴されれば、それに応じて視聴回数が増加していきます。
  • 動画を視聴した人が、その動画をいいと思い、「高い評価」ボタンを押せば、 「高い評価」の数が増えます。
  • 動画を視聴した人が、コメントを残してくれれば、コメントの数が増えます。
  • 動画の概要部分にリンクが張られ、 動画内でそのことが伝えられるなどして、視聴者がそのリンクをクリックすれば、 スポンサーのウェブサイト・ECサイト・アプリストアなどに流入します。
これを、前述のAIDAモデルと対応させると、以下のようになります。
  • チャンネル登録者への通知や動画の視聴 ↔ 認知
  • いいね・コメント ↔ 興味・欲望
  • リンクからの流入 ↔ 欲望・購買

AIDAモデルとYouTubeマーケティング

従って、YouTube動画プロモーションを、広告・マーケティング施策として位置づけた場合、 目標を設定するとすれば以下のようになります。
  • 認知獲得を目的とするのであれば、インフルエンサーのチャンネル登録者数、あるいは想定視聴回数をKPIとする
  • その商品の認知はすでにあり、一歩進んで興味や欲求を獲得することを目的とするのであれば、高評価の数やコメントの数をKPIとする
  • その商品の購買を目的とするのであれば、自社ウェブサイト・ECサイト・アプリストアなどへの流入をKPIとする
また、以下の図は、マーケティングプロセスの中において、YouTube動画プロモーションがどのような導線を作るかを示したものです。 (赤い線が、YouTube動画プロモーションが作る導線です)

YouTubeプロモーションの導線

以上はYouTube動画プロモーションの例ですが、 ブログ・プロモーションや、FacebookやTwitterなどのSNSプロモーションの場合でも、 おおまかな枠組みは同じです。(YouTubeのチャンネル登録者数をフォロワー数に読み替え、高評価をいいね!に読み替え、 コメント数は同じ、張り付けたリンクからの流入も同じ、となります)

インフルエンサー・マーケティングのPDCA

これらのことを踏まえると、広告主様がインフルエンサー・マーケティングをご活用いただくときのアクション・プランとしては、以下のようになるでしょう。

  • 売り出したい商品が、消費者購買ファネル上のどのステップに位置しているのかを明確にする
  • 各KPIを消費者購買ファネル上の対応するステップの代理変数と考え、どのKPIを最大化したいかを決定したうえで、 実施するインフルエンサー・マーケティングの内容に反映させる
  • 実施したインフルエンサー施策で実現したKPIや、広告主様が自身で把握しているその他のKPIやKGIとの全体的な相関を把握する
  • PDCAサイクルを回す

インフルエンサー・マーケティング成功のポイント

こうした目標の明確化と、それに応じて最適なインフルエンサーを選定し、コンテンツを制作すること、が インフルエンサー・マーケティングを成功に導くポイントです。

これまでインフルエンサー・マーケティングに取り組みながらも、望む結果が得られなかったケースの多くは、 こうしたことをおろそかにしていた可能性があります。 インフルエンサー・マーケティングの最先端の米国では、すでにこうしたやり方が取り入れられており、 それがゆえに、インフルエンサー・マーケティングの費用対効果(ROI)は非常に高くなることが知られています。 従来のネット広告対比で、ROIは、平均で3倍以上、場合によっては10倍以上有利になるとの調査結果もあります。

また、日本においては、インフルエンサーの数が少ないせいで、 商材にマッチしたインフルエンサーが見つからなかったケースもあるでしょう。 海外ではインフルエンサーの数が多く、商材にマッチした人を見つけやすいのも利点です。

まとめ

いかがでしょうか?インフルエンサー・マーケティングも、決して曖昧なものではなく、 そのマーケティング効果は数値として把握し、長期的に最適化していくことが可能であることがお分かりいただけたのではないでしょうか。