2016年10月17日

なぜインフルエンサー・マーケティングの効果は高いのか?

前回は、「 インフルエンサー・マーケティングは本当に効果があるのか? 」において、その高い費用対効果と、それを裏付けるデータを確認しました。

しかしそもそも、なぜインフルエンサー・マーケティングは高い費用対効果を示すのでしょうか? データはあくまでデータに過ぎません。 データの背後にあるロジックまで把握してこそ、インフルエンサー・マーケティングの本質的な理解につながり、 そして、より効率的な運用を行っていくことが可能です。

今回は、インフルエンサー・マーケティングが高い費用対効果を示す理由を取り上げます。
INCは、本質的に三つのことがあると考えており、 さらに、今後のデジタル・マーケティング業界のトレンドを踏まえた上で見逃すことのできない4つ目 を指摘します。

理由①:ターゲティング


YouTube、Facebook、Twitterなどといったソーシャル・メディアにおいては、 インフルエンサーのチャンネル登録者やフォロワーのデモグラフィック属性(年齢・性別など)をあらかじめ知ることができます。 また、ファンはインフルエンサーのコンテンツに興味を示しており、 そこからファンの一定のサイコグラフィック属性(趣味・嗜好など)をくみ取ることが可能です。 企業は、こうしたインフルエンサーのファン層の属性を事前に把握しておけば、 売り出したい商材の購買層とそのファン層が重なるようなインフルエンサーに情報発信してもらうことで、 その情報は無駄なく効率的に伝達されます。

インフルエンサー・ターゲティング

理由②:口コミの重要性

現代の消費者は、ありとあらゆる媒体から広告を受け取るようになり、情報過多となっています。 そうした状況では、消費者は、家族・友人や、その他信頼のおける情報源などからの情報に重きを置くようになっています。 要は、口コミの重要性が増している、ということです。 インフルエンサー・マーケティングは、インフルエンサーの口コミを体系化だてた施策であるとも言え、 それがゆえに非常に高い費用対効果を有している、と考えられます。

購買プロセスにおけるインフルエンサーの重要性 右のデータは、Expertcityが、2015年に300人の米国の消費者に対し、 購買に当たって参考にする情報源は何ですか?という聞き取り調査を行った結果を示したものです。

  • 81%の消費者が「家族・友人」と回答し、トップ
  • ネット上のレビューも76%と2位
  • 第三者の専門家が70%で3位
  • ブロガーも55%でした。
家族・友人に並んで、(広い意味での)インフルエンサーと呼ばれる人々が、 消費者の購買に影響を及ぼしていることが伺える結果になっています。



理由③:ファンの信用

これはエンゲージメントなどとも呼ばれますが、ファンはインフルエンサーを信用しています。 信用と一言に行っても形態はさまざまですが、 ファンが自分と共通点が多いことでインフルエンサーに愛着を感じているケースもあるでしょうし、 あるいは、ファンが自分の興味ある分野の第一人者・情報発信源としてインフルエンサーを信頼しているケースもあるでしょう。

インフルエンサーの生の声が重要 右のデータは、TapInfluence・Altimeter Groupが、2016年4月に主に米国のインフルエンサーに対して、 「あなたのファンが、あなたのコンテンツを好きであり、エンゲージメントを示す理由は何だと思いますか?」 と聞き取りを行った調査の結果を示しています。 (回答が少ないものから多いものという順序で並べられています)

  • 58.9%のインフルエンサーが、私はファンの声に耳を傾け、交流を行っているから、と回答
  • 63.8%のインフルエンサーが、私はファンの興味のある情報発信をしているから、と回答
  • 71.2%のインフルエンサーが、 私は正直であり、自分自身の目線で情報を発信しているから、と回答



この点において重要なのが、インフルエンサーの信用を尊重し、インフルエンサーの生の声を引き出すことです。 そうすることで、ファンがインフルエンサーに対して示すエンゲージメントを活用した情報発信ができます。 逆に、ファンが、自分の信頼するインフルエンサーが、企業の望む情報を無理やり言わされていると感じたとき、 インフルエンサー・マーケティングは効力を失います。

理由④:アドブロック

アドブロック(ad blocking)は、日本ではまだそれほど話題となっていませんが、 世界のデジタル・マーケティング動向に敏感なマーケターにとってはホットな話題です。 アドブロックとは、自分の望まない広告を表示させないようにする仕組みのことです。

アドブロックのコスト 米国だけでも、アドブロックの利用者は2015年の時点ですでに5190万人に達しており、 2017年には8660万人に達すると見込まれています(出所:eMarketer)。 米国以外にもアドブロックを利用するユーザーの数は急速に増加しています。 アメリカ以外にも、イギリス・ドイツなどでも全体の2割を超え、 世界での総数も、現時点ですでに2億人に達していると言われています。

右の図は、アドブロックによって失われる世界の広告費の見積りを表しています (出所:PageFairおよびAdobe)。 2015年においてすでに218億ドル(2兆円相当以上)、 2016年には414億ドル(4兆円相当以上)にほぼ倍増すると見積もられています。


なぜこのことがインフルエンサー・マーケティングにとって重要なのでしょうか?

アドブロックは、消費者が望まない広告を表示させないようにする仕組みであるならば、 ファンの望む形での情報発信を活用するインフルエンサー・マーケティングが、 アドブロックの対象となりづらいのは想像に難くありません。

まとめ

インフルエンサー・マーケティングにおいては、インフルエンサー→ファン、という情報の伝達経路が根幹となります。 企業はそのつながりを有効活用することで、

  1. 効率的なターゲティング
  2. 信頼されやすい口コミに近い性質を有すること
  3. (インフルエンサーの信用を尊重することで)そのファンに対してエンゲージメントの深い情報発信ができること
  4. アドブロックの対象になりづらいこと
といった効果が期待できます。 言い換えれば、こうしたことを理解したうえでインフルエンサー・マーケティングを実施することで、 高い費用対効果を実現できる可能性が高まるでしょう。