2017年1月16日

クールジャパンとインフルエンサー・マーケティング


クールジャパン

今回は、ジャパンコンテンツとインフルエンサー・マーケティングの相性について考えてます。 日本のアニメや漫画などを取り巻く現象あるいはコンテンツそのものはクールジャパンなどと呼ばれていますが、 ここでは、アニメ・漫画・ゲームに加えて、日本食、観光地などをジャパンコンテンツと呼ぶこととします。 ジャパンコンテンツは、例えば家電・自動車・その他の製品などとは異なる特徴があり、 従って、一定の性質を持ったマーケティング施策が適合する可能性が浮かび上がります。 そして、インフルエンサー・マーケティングは、そうしたジャパンコンテンツにうってつけのマーケティング施策と言えそうです。

<ジャパンコンテンツの特徴>

インフルエンサー・マーケティングとの相性を議論する前に、まずはジャパンコンテンツの特徴を見ていきましょう。

ジャパンコンテンツの一つ目の特徴は、 代替できない ということでしょう。ドラゴンボールを見たいというニーズを、スパイダーマンで代替することはできません。 寿司を食べたいというニーズを、フランス料理で満たすことはできません。 このことが意味するのは、ジャパンコンテンツには競争相手が存在しないために、 競争優位性を訴える必要がないということです。 例えば、スマホをアピールするのであれば、多かれ少なかれiphoneという強力なライバルと比較して優れているポイントを訴える必要があるでしょう。 しかしながら、ジャパンコンテンツはそうした競合のない独自のものであるため、 機能性や競争優位性を訴える必要はなく、プロモーション上のハードルは低いと言えるかもしれません。 とにかくファンに対してそのコンテンツを好きになってくれるようなアピールをすることが重要となります。

ジャパンコンテンツの二つ目の特徴は、日本好きという特殊なニーズを満たしており、 ファン層が限定的 ということです。このことは、マーケットシェアを見れば確認できます。 ジャパンコンテンツの世界におけるマーケットシェアは実際どのくらいなのでしょうか? 下のスライドは、少し古いものですが、経済産業省の下に設置されたクールジャパン官民有識者会議の2011年における資料になります。 (出所: 経済産業省

クール・ジャパン市場規模

ファッション・食・コンテンツの世界における市場規模は932兆円です。 そのうち日本のものは3.2兆円であり、わずか0.3%に過ぎません。 ときたまニュースで見かける、日本のアニメのコスプレをするような外国人が、 こうしたジャパンコンテンツ(アニメやゲーム)の消費者だと言えるでしょう。 ジャパンコンテンツを売り出していくためには、こうした限定的なファン層に対して効率的にアプローチする必要があります。

ここで言及すべきは、ジャパンコンテンツは、マーケットシェアは大きくなくとも、マーケット規模の母数が大きいために、 消費の絶対額としては数兆円とかなりのもの ということです。マーケットシェアが小さいことは嘆くことではないでしょう。 そもそもジャパンコンテンツが市場を総取りすることはできません。 例えば食で言えば、世界中の食に対するニーズを日本食だけで満たすことは不可能です。 いかに日本のファンを維持し、それを増やしていくかが重要です。 そして、マーケットシェアが小さいということは、今後の伸びしろがあるとも言えます。 さきほどのクールジャパン有識者会議の資料においては、 2020年までにジャパンコンテンツの市場規模を8兆円(0.9%)~13兆円(1.4%)まで伸ばしていくことが目標として掲げられていました。 こうした需要を掘り起こしていくことができれば、日本企業には魅力的な収益機会となります。

<ジャパンコンテンツとインフルエンサー・マーケティングの相性>

ジャパンコンテンツの特徴を踏まえて、インフルエンサー・マーケティングとの相性を見ていきましょう。

ジャパンコンテンツは代替ができないわけですから、何かと比較して良いといったようなアピールはあまり意味がありません。 好きになってもらうことが重要です。 インフルエンサー・マーケティングは、インフルエンサーが動画や写真を用いて視覚を刺激し、 自身の声でファンに対して情報を発信するために、感情に訴えかける効果が期待でき、 ジャパンコンテンツのプロモーションと相性が良い はずです。

もちろん、こうした効果が期待できる広告手段は他にないわけではありません。 しかしながら、ジャパンコンテンツは、ファン層が限定的という特徴があります。 ファン層が限定的であれば、広範な層に訴えかけるような広告手段は非効率的であり、 限定的なファンにターゲットを絞って発信できる手段が必要となります。 ここでインフルエンサー・マーケティングの、 ターゲティングが可能という特徴が活きることになります

インフルエンサーが日本のアニメやゲームに関するコンテンツを提供していれば、 そのインフルエンサーのファン層も日本のアニメやゲームを好きである可能性が高いでしょう。 こうした日本好きなファン層を抱えるインフルエンサーを起用することで、日本好きな消費者に効率的にアプローチできます。 以前の記事 でも紹介したように、日本のアニメやゲームを取り扱うインフルエンサーは数多く存在します。

海外にいながらにして、日本食や日本の観光地にに限定して情報を発信するインフルエンサーはそれほど多くはないかもしれません。 その場合でも、食や旅行に興味のあるファン層を持つインフルエンサーを活用すれば、 食が好きな消費者に日本食を好きになってもらう、旅行好きな消費者に日本の観光地を好きになってもらう、 という形でターゲティングすることが可能です。

ジャパンコンテンツとインフルエンサー・マーケティング

まとめ

ジャパンコンテンツは、代替ができないために、機能性を訴えてもあまり意味がなく、 好きになってもらうことが重要であるという特徴に加えて、ファン層が限定的という特徴を持ちます。 こうした特徴を踏まえれば、インフルエンサーが生の声で感情的に訴えかけ、 自身のファン層に的を絞って行うインフルエンサー・マーケティングは、 アニメ・漫画・ゲーム、日本食、観光地などのジャパンコンテンツを海外の消費者に訴える手段としてうってつけであると言えるでしょう。

海外のインフルエンサーを積極的に活用してジャパンコンテンツをアピールすれば、 クールジャパンの概念が、日本からだけでなく海外現地からも叫ばれるような状況を作り出すことができるでしょう。 インフルエンサー・マーケティングが、世界における日本の存在感を高めることに貢献することを期待します。