2016年10月21日

海外インフルエンサー・マーケティング事例・YouTuberが秘める可能性


Agent Origins



<問題提起>

皆様は、「ブロガー」あるいは「YouTuber」という言葉を聞いたとき、どのようなイメージを持ちますか?

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今お持ちいただいたイメージを覚えておいていただけますでしょうか? 今回の記事を読んだ後に感じるものとは異なるはずです。

海外で活躍するYouTuberなどのインフルエンサーは、 単なる情報発信者としての枠を超えており、 日本で「ブロガー」や「YouTuber」という言葉から想起されるイメージとは、明らかにかけ離れています。

今回取り扱う海外事例では、 これまでの記事で紹介してきたインフルエンサー・マーケティング成功のポイントがしっかり押さえられていることがわかると同時に、 YouTuberが秘める可能性をうかがい知ることができます。 事例はゲームに関するものですが、ゲーム以外の商材を扱う方々にとっても示唆に富む内容ですので、 ぜひご一読いただければと思います。 また、紹介している動画も、クオリティについてはご覧いただく価値があります

<Ubisoftはなぜ自社ゲームの宣伝にインフルエンサーを起用したか?>

※この内容は、 Why Ubisoft Used Influencer Marketing To Promote The Division の抄訳となります。抄訳が原文に相違する場合はすべて原文が優先します。

Ubisoft(フランスの世界的ゲーム会社)は、 有名YouTubeクリエイターであるRocketJumpとdevinsupertrampおよびYouTube映像制作会社であるCorridor Digitalとコラボし、 ゲームシリーズ「トムクランシー」の新タイトル「The Division」を宣伝するために、 オリジナル動画「Agent Origins」を作成しました。 この動画は4つのエピソードに分かれており、 Ubisoftおよび各クリエイターのYouTube上のチャンネルで配信されました。 また、アマゾンプライム上では独占シーンを含めて配信されます。

以下はUbisoftの広報担当であるAnn Hamiltonとの一問一答です。

Q、この短編動画を作成した目的は何でしょうか?


A、ゲームをリリースする前に、オーディエンスをその世界観に没入させたかったんです。

Q、なぜこのYouTuberを選んだのですか?


A、この3者のYouTuberはいずれも素晴らしい実績を持っており、 さらにゲームのストーリーをよりリアルなものに見せるにあたって最適なクリエイティブを有していました。 この3者とはそれぞれ個別に仕事をしたことがありましたが、3者に協力して動いてもらったのはこれが初めてになります。


Q、動画の内容を見るとゲームとは関連性がないように見えますが、 この動画はどのようにして御社のマーケティングと連動するのでしょうか?


A、この3者のYouTuberは熱狂的なファンによって支えられており、そのファンたちは本ゲームのターゲット顧客層とも合致します (INC注釈:インフルエンサー・マーケティングのターゲティングにおいて重要なポイントです)。 この3者はいずれもゲーム好きである上に、ゲームのストーリーを魅力的なものに見せる独特かつクリエイティブなアプローチを有しており、 自分のファンがどのようなコンテンツを見たいのかをよく知っています。

Q、このYouTuberたちは、Ubisoftのゲーム開発者たちとどのように協働したのですか?


A、動画の台本を共同で制作しました。動画の各エピソードはクリエイターによって構成が異なっており、 例えば、RocketJumpのエピソードはユーモラスなつくりになっていまたし、devinsupertrampのエピソードはもっとシリアスな内容でした。


Q、インフルエンサー・マーケティングの観点から言って、YouTubeはゲームに何をもたらしましたか?


A、YouTubeは、弊社が動画コンテンツを消費者と直接共有するツールとなっており、 各ゲームのファンのコミュニティを作ることを可能にしてくれました。 弊社は実際に様々なコンテンツを提供しており、 例えば、ゲームプレイ動画、ゲーム開発チームのインタビュー、トレイラーに加えて、 今回のようなクリエイターとの共同プロジェクトなどです。 さらに、ファンの側からもゲームに関連するコンテンツを発信していただくことも可能になります。

Q、「The Division」は新しいゲームタイトルです。現在の環境下で、 新しいゲームをオーディエンスに向けてリリースするにあたっての課題は何ですか?


A、認知の獲得が最大の問題です。弊社の「Assassin’s Creed」を含めすでにベストセラーとなっているゲームの多くは、 すでにそれ自身が営業をするフランチャイズのようなものとなっています。 「トムクランシー」シリーズの一部としてゲームをリリースできることは、 すでに「トムクランシー」シリーズのファンにアプローチできるため、認知獲得においては有利と言えるでしょう。 とはいえ、「トムクランシー」シリーズの中では新しいタイトルであることに変わりはなく、 このゲームの何がユニークであるかを決定し、そしてより多くのオーディエンスにリーチするために知恵を絞る必要があります。 今回のオンライン動画「Agent Origins」はそうした試みの一つであると言えます。 (INC注釈:インフルエンサーを活用するかどうかに関わらず、 プロモートしたい商材が、消費者の購買ファネル上のどこに位置するかを特定しておくことが、 マーケティング施策を設計するにあたって重要です)。

Q、御社は今回の取り組みを、 YouTubeクリエイター自身とそのファンにアプローチする(いわゆるインフルエンサー・マーケティングの)ための実験だと考えていますか?


A、弊社はすでに長年にわたってYouTubeクリエイターと仕事をしてきており、 このプロジェクトに取り組む前から、すでに成功の可能性が高いことはわかっていました。 (INC注釈:企業とインフルエンサーの間の信頼関係が深いほど、 インフルエンサー・マーケティングの効果を高まります)。 ただ、今回のプロジェクトは、3人のクリエイターと同時に取り組んだ初めてのプロジェクトでした。そして我々はその成果に満足しています。

Q、このようなオンラインの手段を用いて巨大なオーディエンスにリーチする可能性を、 特に伝統的なテレビCMと対比したうえで、どうとらえていますか?


A、アマゾンプライムとYouTubeは規模がすでに圧倒的に大きいですが、 今後もこうしたオンライン動画プラットフォームには、さらに多くの消費者がエンターテイメントを求めて流入するでしょう。 YouTubeのインフルエンサーは、テレビ上の有名人や映画俳優と同等の影響力を有しています。 オンラインは、オーディエンスを楽しませるコンテンツを届ける手段の一つとなっているのは間違いありません。

<本記事が示唆するもの>

今回のUbisoftのマーケティング施策におけるポイントは

  1. インフルエンサーのファン層と、ゲームのファン層の重なりを意識していた
  2. 認知の獲得を明確に目標として設定していた
  3. インフルエンサーと良好な関係を築いていた
  4. YouTuberのクリエイティブ能力を活用していた
ということになります。上記1~3については、以前の記事でも主張したポイントであり、 こうしたマーケティング上のポイントを意識してインフルエンサーを活用することが、 インフルエンサー・マーケティングの成功につながります。

上記4番目は、日本のブロガー・YouTuberプロモーションにはなかった目新しいポイントだと思います。 ご覧いただいたように、一部の海外のYouTuberなどのインフルエンサーは、すでにクリエイターの領域にまで進出しています。 日本の企業・観光地が海外のインフルエンサーを活用するに当たっては、 「単に口コミを広げてくれる人」程度の認識から脱却し、 独自のスキルそして独自のコンテンツを持ったエキスパートかつオピニオンリーダー、という認識を持ち、 彼らの能力をフル活用する方がよいでしょう。 そうすることで、インフルエンサー・マーケティングの可能性が広がります。

さらに、日本のYouTuberやインフルエンサーにとっては、彼らも 単なるネット上のタレントの枠を超えて、様々な領域に進出していくことができる可能性 を指し示しているということでしょう。